診療における6本の柱
1. 診療録の完全開示
本来、カルテは医療機関の公的所有物であると同時に、患者様個人の私的所有物でもあります。 しかし、現状では医療機関だけが患者様の医療情報を持っており、患者様ご自身が自分の医療情報を知るためには、情報開示請求をしなければいけない状況です。 これでは、患者様と医療者の信頼関係を堅固なものにして、共に協力して疾病の治療、あるいは予防するのは困難です。 患者様も、ある場合には全てを医者任せとしてしまいがちになり、自身で疾病と向き合う気持ちを持たなくなってしまいます。 あるいは、反対に、医療者に対する不信をつのらせた結果、多くの医療機関を受診することで、患者様を総合的に管理する医師がいなくなり、悪い結果を引き起こすこともあります。 加えて、緊急時には、それまでの医療履歴が他の医療機関にわからない、という不都合が起こっています。
当クリニックでは、電子カルテであることを最大限利用して、受診内容を一般の方にわかるように、医療用語は最低限の使用に限り、平易な言葉で記載し、検査結果なども含め、印刷物として患者様ご本人にお渡しします。 クリニックと同じ内容のカルテを患者様ご自身にも持っていただき、情報を共有します。 医療情報の完全開示が、当クリニックの最大の特徴です。
2. 納得をしてもらう医療
病気について、あるいは現在の病状について、検査結果について、治療について、あるいは予防を含めた日常の生活指導についても、患者様ご本人やご家族にしっかり理解してもらわないと、治療や予防の効率は良くなりません。 医療者からの説明が少ない状況、あるいは説明に納得できていない状態では、当然の結果です。 当クリニックでは、患者様に、納得ができるまで、しっかりと説明を行います。 もちろん、医療は医学という学問に裏打ちされていますが、人類が人間について理解している知識は、極めて乏しいものであることも事実です。 現時点で、医学的に正しいと言える知識を駆使して、納得していただけるように説明を行います。
3. プライマリー・ケアの実践
患者様の中で、始めから受診する科がわかっているということは、怪我でもない限り、案外少ないと思います。 逆に、病気なのかどうかさえ判断できない、ということもあるでしょう。 テレビで言っていた症状があるので、自分も病気かもしれないと考え、悩んだ挙句に、せっかく勇気を出してかかった医療機関で、『科が違うので他の医療機関にかかって』と言われた経験がある患者様も居られると思います。 英語で『プライマリー・ケア』というのは、日本では『総合診療』と訳されていますが、厳密には異なります。 当クリニックは、そのような、まずは相談だけでも構いません。 病気が隠れていることもあるし、違う病気であったりすることも、あるいは全く心配がない状態であることもあるでしょう。 本当は、多くの国民にとって、そのようなことが一番気になるのではないでしょうか? もちろん、当クリニックで対処して完結できるものは、科を問わず、できる限り対処いたします。 しかし、専門医の診療、検査や判断が必要なものに関しては、診察したうえで、適切な施設や医師をご紹介いたします。
4. 院内検査の充実
プライマリー・ケアを実践する上で、院内にも必要な検査が可能な機器をそろえています。 医療者にとっては経験、勘や感性というものも、『人』を診る上では非常に重要な要素です。 しかし、『医療』は『医学』という学問の強力な裏づけがあります。 検査は、科学としての証拠を明示し、診断や治療を行ううえでの根拠を与えます。 必要な診断機器があることは、クリニックの責務だと考えています。 そのため、単純レントゲン装置、超音波装置、消化管内視鏡、心電図、ホルター心電図、末梢血分析装置、HbA1cやCRP測定装置、一酸化炭素測定装置、睡眠スクリーニングモニター、などを常備しております。
5. リハビリテーションの充実
脳血管障害による麻痺、高齢や骨粗鬆症に伴う骨関節に起因する痛み、手先の細かい作業やコンピューター操作や運動不足による肩こり症候群の症状、過度の運動による筋・関節の痛みに対しては、内服薬や外用薬、局所麻酔剤注射による治療に加えて、電気や熱といった物理的な力による治療も効果があります。 当クリニックでは、水流マッサージを始めとして、牽引治療器や物理療法機器をそろえております。 症状にあわせて、機器を利用しながら症状の緩和を目指します。 さらに今後は、病院退院後の日常生活を維持するためのリハビリテーションや寝たきり予防のためのリハビリテーション、消炎鎮痛のためのリハビリテーションも、専門的人材を採用しながら計画的に推進させます。
6. 在宅医療への道
通院が困難な患者様に対しては、訪問診療あるいは往診を行います。 平成6年から、私は20年近くに渡り、在宅医療を実践してきました。 医師が常にトップダウンに指示する在宅医療ではなく、患者様の必要性に合致した様々な職種による在宅医療を推進してきました。 今までの経験を活用して、自宅療養に協力できる体制を、徐々に構築したいと思っています。